肘が痛い~テニス肘でのストレッチや筋力トレーニング、検査法、治療法について

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肘が痛い…手首に負担がかかる動作を行った時に予防しておこう!

肘の外側が痛くなる「テニス肘」。
正式には上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)と呼ばれるものですが、テニス愛好家にその症状が多いことからそのように呼ばれるようになりました。
ラケットを扱うスポーツに多くみられる症状であり、テニスのほかにもバドミントンや卓球、野球などにおいても発症がみられます。
ほかにも料理人や重い荷物を運ぶ作業員などにも多く、家事をしているだけでも発症することもあります。
ただ、痛みが生じだした軽症の場合においては、安静にしておくことで痛みが緩和するようになりますから、それほど受診する方は多くありません。
しかし、肘は常に安静にしておくことが難しい部位ですので、結局は悪化させてしまい、受診する頃には治りにくくなっていることも少なくありません。
そのため、痛みが生じた場合には安易に考えずに早めに受診するようにして、医師の指示のもとに治療や予防に取り組むことが大切です。
予防方法には運動療法がおすすめです。
ストレッチや筋力トレーニングに取り組むようにし、痛みが生じるような場合にはサポーターやテーピングを活用し、熱感があるのであればアイシングを併用します。
どのように取り組んでいけばいいのかご紹介していきましょう。
手首のストレッチ
テニス肘は肘の外側部分に痛みが生じます。
安静に過ごすことで痛みが和らぐことも多いですが、仕事や家事など日常的に負担となる動作を行うシーンは多くありますから、普段からストレッチに取り組んでおくことが有効になります。
テニス肘でのストレッチは、上腕骨外側上顆と呼ばれる肘の外側を伸ばしていきます。
ストレッチする側の腕をまっすぐ伸ばした状態で、手首だけを上に反らしていくように曲げ、30秒ほどキープしリラックスさせます。
次に腕はまっすぐ伸ばしたまま、手首だけを下に曲げて反対の手で手首をストレッチし、30秒間キープします。
肘の外側が伸びていることが実感できるのではないでしょうか。
この動作を一日に何セットか行うようにするといいでしょう。
筋力トレーニング
テニス肘の原因に、肘周辺の筋肉が衰えているということがあります。
テニス肘の発症は40代以降に多くみられますが、これは加齢によって筋力の低下や柔軟性が失われていることが原因であると考えられます。
筋肉が硬くなってしまうことによって、少しの運動でも損傷してしまうようになりますから、少しずつ筋力トレーニングに取り組むことは有効な予防法になります。
1~2㎏程度の軽めのダンベルやペットボトルなどを活用して取り組むといいでしょう。
腕をまっすぐ伸ばした状態で重りを持ち、手首だけを上に反らしていくように持ち上げます。
次にそのまま手首だけを内側に曲げていきます。
ただし、痛みや熱感があるような場合には無理せず医師の指示に従うようにしましょう。
肘や手首へのサポーター・テーピング
テニス肘の予防や改善のために、サポーターやテーピングがよく活用されています。
肘や手首にかかる衝撃を吸収する効果がありますので、肘に負担をかけてしまう家事や作業の際には活用するといいでしょう。
痛みが生じる肘の外側の骨の出っ張った部分(上腕骨外側上顆)にサポーターやテーピングを活用するのではなく、肘からやや手首側に指2本分ずらした部分(短僥側手根伸筋腱)を圧迫するようにします。
サポーターやテーピングには、幅が広いタイプと狭いタイプがあります。
どちらを選ぶかについては、実際に活用してみて、痛みがラクになるものを試してみると良いでしょう。
患部へのアイシング(冷却)や温め
テニス肘は、痛みが生じ始めた際には患部に熱感を持っているために、この時期にはアイシングを行うことによって痛みを和らげることができます。
ただし、痛みが生じてから数か月ほど経過すると、痛みが慢性化している状態となり、この時期にアイシングしてしまうと逆効果になってしまいます。
慢性化しているような状況であれば、お風呂で温めながら、上記でご説明したストレッチなどに取り組むことが効果的です。
テニス肘の診断・検査

- レントゲン検査
- Thomsen(トムセン)テスト
- chair(チェア)テスト
- 中指伸展テスト
テニス肘の診断には、上記4つの検査方法が用いられます。
レントゲン検査においては、骨折などとの判別に用いられ、その他のテストにおいては痛みの反応をみることによってテニス肘なのかどうか確認していきます。
「homsen(トムセン)テスト」「chair(チェア)テスト」「中指伸展テスト」において、肘外側から前腕にかけて痛みが生じる場合にはテニス肘と診断され、適切な治療に取り組んでいくことになります。
レントゲン検査
レントゲン検査においては、肘関節をレントゲン撮影してみて、骨の異常などを確認していきます。
テニス肘の場合であれば、通常、骨に異常がみられるようなことはありませんが、外傷などがあった場合には骨折が確認できるような場合もあります。
また、テニス肘によって慢性的な痛みが生じている場合には、上腕骨外側上顆部に白くもやもやした石灰化が判明することがあります。
これはカルシウムの沈着物が石灰化しているもので、炎症を引き起こしている原因であると考えられています。
Thomsen(トムセン)テスト
テニス肘の診断には簡単なテストが行われます。
「Thomsen(トムセン)テスト」とは、痛みが生じる側の腕を、肘を曲げずに伸ばしておき、その状態のまま手首を上に曲げるような動作を行います。
医師がこの状態で手首を下方向に力を加えた場合に、肘の外側に痛みが確認できた場合にはテニス肘が疑われることになります。
chair(チェア)テスト
「chair(チェア)テスト」もほかのテスト同様に用いられる検査法です。
痛みが生じる側の肘を伸ばした状態のまま手で椅子を持ち上げてもらい、肘のどの部分に痛みが生じるか確認していきます。
肘の外側に痛みが生じるような場合には、テニス肘を疑います。
中指伸展テスト
「中指伸展テスト」が検査法として用いられることもあります。
痛みが生じる側の肘を伸ばした状態で指も伸ばして保持します。
医師が中指を下に押さえていくのに対して、抵抗するように中指を持ち上げていくようにします。
この際に肘の外側に痛みが生じるかどうか調べていきます。
テニス肘の治療法

- 消炎鎮痛剤(内服薬・湿布)
- 理学療法(筋力トレーニング・ストレッチ)
- ステロイド注射
- 外科手術
テニス肘は、初期症状の時期においては保存療法が基本となり、内服薬や湿布などの消炎鎮痛剤やリハビリやストレッチなどの理学療法に取り組むことになります。
痛みが慢性化し、なかなか改善が見られない場合や日常生活に支障を来している場合であれば、ステロイド注射や外科手術が選択されることもあります。
消炎鎮痛剤(内服薬・湿布)
テニス肘の初期症状の時期には、できるだけ安静を保つようにし、内服や湿布などにおいて痛みを緩和させながら経過を観察していきます。
内服薬を長期間服用するような場合には、胃腸に副作用が生じるようなことがありますので、注意が必要です。
理学療法(筋力トレーニング・ストレッチ)
テニス肘の原因は、加齢によって肘周辺の筋力が衰えてしまい、硬くなってしまうことが考えられます。
そのため、筋力トレーニングやストレッチに取り組むことはとても有効な治療方法になります。
ただし、痛みや熱感がある場合には逆効果となるようなことがありますので、必ず医師や理学療法士などの指導のもとに取り組んでいくことになります。
また、お風呂などで温めるなど、温熱療法に取り組むこともおすすめできます。
ステロイド注射
テニス肘において、慢性的な痛みが生じている場合には、ステロイド注射が選択される場合があります。
発症からすでに6週間ほど経過しているような状態では、すでに慢性化していることが考えられます。
物が持てなかったり、ドアノブが回せないような状況の場合には、局所的にステロイド注射を行うことによって、短期的に痛みを緩和させることができます。
ステロイド注射は短期的な効果が高いですが、1~2か月程度の効果が持続したのちには、痛みが再発してしまうことがあります。
そのため、この間にしっかりと筋力トレーニングやストレッチなどの理学療法に取り組んでおき、改善に取り組んでおかねばなりません。
外科手術
上記の治療に取り組んでも思うように改善が見られない場合においては、その経過の中で外科手術が選択されるケースもあります。
外科手術が選択されるケースはそれほど多くありません。
外科手術においては肘の外側を切開し、痛みが生じている腱を切除し、残っている腱を骨と縫合していきます。
メリットとして痛みを緩和させることができますが、傷がやや大きくなり、違和感や痛みが残ってしまうことがデメリットとして挙げられます。