ひざに水がたまった!その原因と治療法を徹底解説

ひざに水がたまった!その原因と治療法を徹底解説

ひざに痛みが生じ、腫れぼったい感じになって病院に行くと、
「ひざに水がたまっています」
と診断を受けることがあります。
「ひざに水がたまる」とは、ひざの関節内に関節液と呼ばれる潤滑油の役割を持っている液が、何らかの原因によって異常に増えてしまった状態のことを指しています。
つまり、ひざに水がたまるのは損傷や炎症、細菌の感染などの原因によって引き起こしてしまう症状です。
水がたまらないようにするには、その根本原因を取り除く必要があるのです。
「ひざに水がたまる」とは?
ひざに水がたまると、ひざの曲げ伸ばしの際に違和感を感じるようになったり、不自由さを感じるようになったりします。
特に中高年の女性に多くみられる症状でありますが、我慢しながら生活している方が多くいらっしゃいます。
しかし、初期症状の段階でしっかりと治療しておかねば、どんどん症状が悪化してしまい、歩くことが困難になってしまうことがあります。
「ひざに水がたまる」とは、膝関節内に関節液と呼ばれる液体が異常に発生している状態です。
膝関節は大腿骨や脛骨、膝蓋骨といった骨で構成されており、その骨を大腿四頭筋や膝蓋腱と呼ばれる筋肉や腱によって支えています。
それらの関節全体を関節包と呼ばれる膜で覆っており、その内側には滑膜という柔らかい膜によって保護し、関節液と呼ばれる潤滑油で満たされています。
この関節液は、関節を滑らかに動かす役割がありますが、損傷や炎症、細菌の感染などによって異常に発生してしまうことになります。
通常では1cc程度のごく少量の関節液しかありませんが、ひざに水がたまると50cc以上にもなることがあります。
この関節液がどんどん関節包の中にたまっている状態が、いわゆる「ひざに水がたまった」状態であり、「関節水腫」と呼ばれています。
ひざに水がたまる原因は?
「ひざに水がたまる」のは、あくまで症状であって、その元となる原因が必ず存在します。
- 変形性膝関節症による軟骨の損傷
- 関節リウマチや痛風による関節内の炎症
- 半月板損傷や靭帯損傷、骨折などの外傷による内出血
実際に水がたまっているひざの診断では、このような原因が多くみられます。
特に中高年の女性に多いのが「変形性膝関節症」です。
変形性膝関節症とは、関節内にある軟骨がすり減ってしまって、骨同士がぶつかることによって痛みが生じるという病気です。
加齢や運動不足などによって膝周辺の筋肉が弱ってくると、支えられなくなってしまい、膝に負担をかけて軟骨が少しずつすり減ってしまいます。
それが原因となって炎症を引き起こし、ひざに水をためる原因となってしまうのです。
また、関節内に炎症を引き起こす病気には、ほかにも関節リウマチや痛風などがあります。
さらに外傷によって、ひざに水がたまることもあります。
例えば、スポーツや転倒などによってひざを強くぶつけてしまった場合、半月板損傷や靭帯損傷、骨折などが生じることがあります。
そのような場合には、膝関節内に内出血がみられ、関節液に血液が混じっていることが確認できます。
ひざに水がたまったときの処置
- 内服薬(消炎鎮痛剤や抗炎症薬)
- 外用薬(塗り薬や湿布薬)
- 注射(鎮痛・炎症抑制・軟骨の保護)
ひざに水がたまったときの処置として、ひざから水が抜かれることがありますが、同時に行われる処置として上記の薬物治療がみられます。
内服薬は痛みへの対処療法として鎮痛効果のあるものや、関節内の炎症を抑える抗炎症薬が処方されることがあります。
また、塗り薬や湿布薬といった外用薬によっても、痛みを抑える効果が期待できます。
膝への注射については、痛みが強い場合に鎮痛作用や炎症抑制作用のあるステロイド注射を行うことで、抑えることができます。
ただし、副作用がありますので、繰り返し使用することはできません。
ヒアルロン酸は、軟骨を保護する作用を持っているために、変形性膝関節症などに有効な治療方法です。
痛みの緩和と共に、関節内の滑りが良くなる効果が得られます。
また、そのほかにも運動療法も治療には効果的です。
ただ、自己流の運動では負担をかけて悪化させてしまうことがありますので、必ず医師の指示のもとに行うようにしなければなりません。
まずは早めに医療機関へ
変形性膝関節症の初期段階においては、痛みに対する対処療法と安静を保つことによって、症状が緩和することも少なくありません。
そのため、初期段階では通院せずに過ごしている方が多くいらっしゃいます。
しかし、冒頭からお伝えしている通り、ひざに水がたまった状態は、必ずその原因となっているものがあり、その原因を取り除かないと悪化させてしまうことになります。
多くのケースでは悪化させてから通院されますので、すでに薬物治療や運動療法だけでは効果が得られないことも多いのです。
症状が進行してしまうと、膝関節に変形がみられるようになり、ひざの曲げ伸ばしが難しくなってしまいます。
歩行が難しくなり、痛みも生じるようになりますので、日常生活に大きな支障をきたしてしまうのです。
そのような場合には、人工関節置換術と呼ばれる手術が選択されますが、どうしても身体への負担が大きくなります。
症状を進行させないためにも、早めに医療機関に受診するようにしましょう。
治療の専門家が推奨する腰痛ベルトや足首・ひざサポーター

変形性膝関節症を生じさせてしまう原因は、主にひざ周辺の筋力が低下していることにあります。
そのため運動療法によって筋力アップに取り組むことが有効であると考えられていますが、同じように関節への負担をなくす効果がある「腰痛ベルト」「足首サポーター」「ひざサポーター」の装着が推奨できます。
自分自身の身体にあったサポーターを装着するだけで楽になることがありますので、ほかの治療と並行して取り組むと効果的です。
特に関節の痛みが生じるようになると、痛みが生じる関節をかばって動作を行うようになりますので別の関節まで影響を与えてしまうこともあるのです。
そのため、ひざの痛みであるとしても、腰痛ベルトや足首サポーターを装着することによって、負担を軽減できることもあるのです。
特にひざに水がたまっている状態では、ひざサポーターによって痛みを緩和させることができます。
ただし、サポーターについては医療機関に相談して、自分にあったものを装着できるようにアドバイスしてもらうことをおすすめします。
ひざに水がたまったときの対処法

ひざに水がたまってしまうと痛みの原因にもなり、そのまま放置していると症状が悪化して日常生活にも大きな影響を与えるようになります。
そのため、その処置として水が抜かれることがあります。
しかし「ひざの水を抜くとクセになる」という言葉をお聞きになったことがないでしょうか。
ひざに水がたまったときの対処法についてご紹介していきましょう。
ひざの水を抜くとクセになる?本当に水を抜いてもいい?
ひざに水がたまったときの処置として、水が抜かれることがあります。
ただ、「水を抜くとクセになるのでは?」と、この処置についてご質問をいただくことが少なくありません。
結論から申し上げますと、水を抜くとクセになるのは事実ではありません。
ただ、なぜそのようなことが言われ続けるかと言うと、ひざの水を抜いても、また水がたまってくることがあるからです。
これはクセになっているのではなく、ひざに水がたまる根本原因を取り除いていないために生じているものです。
その原因が変形性膝関節症であるならば、その治療が必要になりますし、骨折などの外傷が原因であるならば、その損傷を治さねば、また水がたまってくるのです。
そのため、「クセになるから」と考えず、根本的な解決のために、早めに医療機関に受診して治療を開始することが大切だと言えるでしょう。
ひざに効果的あるのは温シップ? 冷シップ?
湿布剤には「温シップ」と「冷シップ」の2種類があり、どのような症状にどちらを使えばいいのか分からないとご質問をいただくことがあります。
継続する慢性的なひざの痛みであれば「温シップ」がいいでしょうし、急に痛みだして、ひざに熱感を持っているような場合であれば「冷シップ」がいいでしょう。
ただし、慢性的な痛みの場合でも冷シップには消炎鎮痛作用がありますので、使用しても問題ありません。
また、冷シップには十分な冷却効果はありませんから、外傷などによって急に痛みが生じたような場合であれば、冷シップだけではなく氷や保冷剤でアイシングしておくことも必要です。
慢性的な痛みであれば温シップは温感効果と血行促進効果に優れていますが、温泉などで温めるようにすれば、血行が良くなり症状の緩和が期待できます。
ひざの痛みには温泉は良いの?
ひざの治療に取り組まれている方から、「温泉や温水プールは効果がありますか?」とご質問をいただくことがあります。
温泉には、つぎのような効果を得ることができます。
- 温めることによる温熱効果
- お湯の浮力や静水圧による物理的効果
- 泉質による化学的効果
温めることによって血流が良くなりますので、慢性的なひざの痛みには効果的です。
温泉でなくとも日常的にお風呂で温めるようにすることは、代謝が促進され、痛みの緩和にも繋がります。
またお湯の中では浮力が働き、ひざへの負担を軽減させることができます。
さらに水圧によって引き締める効果があるために、足のむくみを解消させる効果も実感できるでしょう。
温泉においては、泉質による化学的効果があるとされています。
成分によって身体が冷めにくくなり、血行促進に役立ったり、抗菌作用や免疫機能が改善する働きも知られています。